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1998年(平成10年):全日本美容環境衛生同業組合連合会主催
【主題テーマ】=「美容産業長期ビジョン21世紀への展望」
投稿テーマ=【美容の4年制大学を】
 投稿者(平成10年):東京都 ジミー F 塚田
今、この業界がこうしてあるのも、日本の経済成長と共に、美容業の発展に努力された人たちが、欧米の技術や文化、流行を取り入れ、それらを習得した美容師とニーズを求めた欧米志向を吸収する人たちのファッション性や需要の成り立ちによって今日を迎えてきた。
 今ではその技術も世界に勝っても劣らない美容界と成り、これから21世紀に向かって国内外と共により豊かな文化を高め合い、業界を目指す人たちにも希望を与えて発展すべき時に来たと言える。今やテレビや雑誌に載り、社会一般にまで美容師がもてはやされ、業界を目指す人も多くなったと言われる。
 しかし、それは美容界自らが社会性に立ち上げたものとは多少違う様であり、感心を持つ情報化社会のニーズが起爆剤となり、若者が要求する現代のファッション傾向によって開花してきたものであろう。
 そのファション傾向も今や業界が発信してきた主流とは多少異なり、国際色豊かになった若者文化から発信されている。
それほど今は流れを作る主導力が逆転し、ニーズも多様化し、若者の作り上げるファッション文化に翻弄されながら、社会性に乗った流行現象であり、ファッションの情報源としてテレビにまで取り上げられている。
 それは美容界が魅力を持つ業界により発展したと捉えて良いことであると共に、それは一過性の情報として取り上げられている、移ろぎな社会性と理解して置きたいところである。
 美やファッションへの感性は本来、トータル的に評価されているものであり、美容界はその一分野としてのファッションを作り出しているに過ぎない。
 これらの関係をもつファッション業界と共に流行や専門性の魅力だけでなく、実質的な業界文化をより高め、美容界が持ち備える能力を開かれた一般社会や国際文化に幅広く向上させ、社会的貢献に広く寄与して世間に認知されてこそ、より豊かな業界象となってゆくのではないだろうか。
 これからは業界の組織自体が新しい文化社会への貢献を目指すべき時で、私はこれからの美容師を目指す人たちまでもがより幅に広い社会への希望と目的が持てるように、立派に誇れる業界の発展に寄与してゆく全体像を望む次第である。
 そのためには、美容業も21世紀に向かって新たな発展への過渡期でもあり、この業界がより優れた社会性を得て、技術や知識と共に、人材が豊かに高まる情報化社会に伴った、より富んだ業界の意識改革が必要であると想っている。
 今や高齢化社会を迎え、寝たきり老人を介護する施設や病院の看護婦さんがシャンプーをしたり、髪を切っている所もあり、まだまだ我々の業界が成すべき福祉社会や国際社会への貢献すべき視野は多くある。
 今あらゆる業界が組織改革や教育レベルの向上や試行に取り組んでいる昨今、この業界も将来に向けてより豊な社会性を築くために、高めた業界の地位を作り上げてゆかなければならない時でもある。
 将来に夢や希望を持つこれからの若者が、一人前の社会人としての技能の習得と共に、それに見合う国際社会に必要な知識や教養を学び、教育水準をも高める4年制大学を全国に一校でも開校することが業界が発展する根底に必須と考えている。
 そこからまた新たな幅の広い業界全体の発展が予測されるのであり、美容界がこれからの新しい国際交流の一助を担うためにも、人材を育成するための教育の向上を計ることは必要なことなのである。
 近隣諸国への進出や指導的役割を担う教養も身に付けさせることで、若者に誇りと自信を持たすこともでき、将来に目的をもって志す人たちに目標と希望を広く与えることもできる。
 私たち業界人はこの業界を21世紀に向かって、立派に発展させてゆくべき義務があり、専門学校や短大、大学と若者が自由に自分の希望するレベルに合わせて選べるように、広く間口を広げる必要がある。業界人が広く社会全般の社会性の視野に立って、中庸な立場で業界の将来を考えるべき時期にきたのである。
 最近の新聞の記事にも、今年中に大学が全国で新たに16校が開設し、来年には28校が開設されるという。

大学も社会性に合ったいろいろな学部や学科を開設している昨今においても、大学との提携によって理美容学部、学科の開設を推進しべきと想うのである。
 あらゆる業界が教育レベルを高め、人材を社会に排出しながら巷では、教育の崩壊、学歴社会の排除なども言われているが、それは個人の資質に問題があり、目的をもった教育レベルの高い業界からは、より優秀な人材を社会に輩出していることも確かである。
 これからの美容界も外国語教育、一般教養、専門技術と幅広くコンピュータを利用したグラフィックデザインなどや模擬実習、デザインの想像性、発想性をも磨き、技能、知識力などから学び取る社会的レベルをも高め、今までの伝承技術指導との併用によって、より豊かな美容師育成に貢献する軸となって欲しいものである。

 今やこの業界も外国を真似て追随する時代は終わり、独自の独創性、発想力を持つべき時。
 世界のリーダーシップを担うべく、これからの美容文化を高める先駆者となって国際文化に貢献してゆくべきである。
 近隣諸国の国民が今ある日本の大学に留学せず、ヨ−ロッパの大学に入校するのも、それなりな国情への意図がある。美容界の4年制の大学開校は、現存する大学とは違い、世界にはまだ類のない施設であり、近隣諸国の留学生を向い入れることにも繋がり、国政交流の場としても意義がある。
 その開校は先進国や発展途上国に遅れを取ってはならない業界の権威にも繋がるものである。
今や少子化の時代でありながらも大学への価値は求められ、既に音楽、美術、文化、看護、情報、造形、電気通信、工業、経済、環境、福祉、国際、はたまた武道、鍼灸までもが大学を開校し、学部、学科に至っては数は多く、これからの少子化に向かってしのぎを削っている。そんな中、この業界の発展のためにも大学に注目される業界でなくてはならない。
 華道、茶道と同様に日本の美容も伝統文化を持ちながらも息を留めるが、美容は世界に共通する社会性にあった文化を備えている。
 今の日本の事情を考えれば、大学を希望し美容の資格を取ろうとすれば、ダブルスクールという6年の歳月が必要となる。
 月謝に至っては相当な経済的金銭問題となり、業界を目指す若者に掛かる金銭的問題をも考慮した大学設備を全国に1学科でも構築すべきである。
 今は知恵の時代とも言われ、情報化と共に社会に自立した技能や教養を独自がしっかりと身に付けて向上してゆく時代でもある。 我々の業界も既に技術能力を身に付ければ良いという時代は終わり、より質を高めた社会性が必要であろう。

大学の開設には少なくとも4つの利点がある。
1、業界の社会への幅の広い貢献と地位の向上 
2、理美容人口の減少の防止 
3、より幅の広い豊かな教育文化、国際業界への進歩と発展

 国や企業なども人に希望を与え、明日に向かって業界を目指す人たちが理想と目的を開き、豊かさを追って夢を叶えてゆく社会にしてこそ発展であろう。
  審 査 委 員
小沢 勝之 長期計画検討委員会座長:高千穂商科大学教授
瀬田 公和 長期計画検討委員会委員:環境衛生金融公庫理事
小泉 徹 長期計画・市場拡大プロジェクトメンバー:東京都立短期大学教授
田中 吉之 厚生省生活衛生局指導課経営指導官
白井 操子 組織・広報委員会委員長